革新的ながん治療法「NIPP」の保険適用を目指し、研究開発を進めるメドキュレーション株式会社。
医療という専門領域、かつ広告規制という高いハードルがある中で、クラウドファンディングを起点としたPR戦略を推進し、三ヶ月弱で 1,129人の支援と14,635,500円の資金を集めることができました。さらには、campfireでの2025年下半期BESTプロジェクトとして「革新アイディア賞」を受賞。快挙を達成しました。

この挑戦の裏側には、異なる専門性を持つ二人のキーパーソンがいます。
一人は、自身のライフワークとしてこのプロジェクトを牽引する、代表取締役の柴垣 知広さん。 もう一人は、映像のプロとして参画し、今ではプロジェクト全体の「伝え方」を設計する取締役・広報責任者の三沢 雄吾さん。
今回は、このお二方に、プロジェクトにかける想い、そしてPRパートナーとして弊社BP&Co.株式会社(以下、BP&Co.)との共創について伺いました。
「コンサルは要らない。今すぐ“手足”となってくれるPRパートナーが欲しい」
日本発の新がん治療『NIPP』を世に届けるメドキュレーション株式会社様が直面した課題は「医療広告の壁」と、創業期ならではの「圧倒的な実行リソース不足」でした。
映画のクラウドファンディングで業界平均6倍超の実績を持ち、戦略だけでなく“手足”となって動くBP&Co.のスタイルが求められ、プロジェクトにジョイン。創始者の先生と経営陣の「掛け橋」となり、複雑な専門情報を社会に届けるチームの一員として、伴走支援がスタートしました。
今回は、プロジェクトを率いるお二人のキーパーソン、代表取締役の柴垣知広様と、取締役・広報責任者の三沢雄吾様に、BP&Co.との取り組み、そしてプロジェクトに懸ける熱い想いを伺いました。
<インタビュアー紹介>
三間 瞳(BP&Co.株式会社 代表取締役)
映画プロデューサーとして、クラウドファンディングで業界平均6倍超の支援を集めた実績を持つ、PRとマーケティングの専門家。
「BP&Co.株式会社」は、単なるアドバイスに留まらず、クライアントの“手足”となって事業成長を「実行」する伴走型パートナー集団。スタートアップや中小企業の「社外広報室」として、情熱を持ってプロジェクトを成功に導いている。
【代表取締役 柴垣知広様】すべては、一人の医師との出会いから始まった
■20年来の歴史を持つ日本発のカテーテル治療「NIPP」を、誰もが受けられる未来へ
─── 本日はありがとうございます。早速ですが、今取り組まれている「NIPPプロジェクト」の概要について、改めて教えていただけますか?
柴垣さん: はい。NIPPは、2000年頃から日本で行われてきたカテーテル治療です。現在はまだ自由診療ですが、これを治験を経て保険適用にし、がん治療における選択肢の一つとして、全国の病院で誰もが受けられる状況を作る。それがこのプロジェクトの目的です。
───「NIPP」という言葉自体、まだ聞き慣れない方も多いと思います。カテーテルを使うというのが、一つの大きな特徴なのでしょうか。
柴垣さん: そうですね。カテーテルを使って体への負担が少ない小さな傷で体内に閉鎖空間を作り、そこに高濃度の抗がん剤を直接投与します。そして、重要なのは、その抗がん剤を投与後に回収すること。これにより、全身への副作用を大幅に減らすことができるのです。「高濃度」な治療効果と「副作用の低減」を両立できるのが、この治療法の画期的な点です。

■「社長をやってくれないか」人生を懸ける決断の裏にあった想い
─── 柴垣さんご自身は、医師としてこの治療法に携わっていたわけではないのですよね。どのような経緯で、このプロジェクトに関わることになったのですか?
柴垣さん: もともと、この治療法の創始者である小野澤先生とは面識がありました。先生が登壇されたIVR学会(日本IVR学会学術集会)のシンポジウムでNIPPについて学び、その後、先生と一対一で食事をする機会に恵まれたんです。そこで深くお話をする中で、「この治療法を広めるための会社を作りたい。柴垣さん、社長をやってくれないか」と。
─── それはすごいお話ですね!
柴垣さん: もう、めちゃめちゃ嬉しかったですね。
─── 嬉しかった、ですか。驚きよりも?
柴垣さん: はい。ちょうどその頃、私は外資系の医療機器メーカーにいたのですが、組織の中で理不尽に感じることもあり、自分のキャリアについて少し悩んでいた時期だったんです。私がいた日本法人の役割は、本国にある製品の中から「日本の市場に合うもの」を選び、それを国内で広めていく、というマーケティングが中心でした。それはそれでやりがいのある仕事でしたが、心のどこかで「本当に患者さんが求めているものを、そのニーズから作り上げて届けたい」という想いがずっと強くあったんです。

三間: すでにあるものをどう売るか、ではなく、そもそも「作る」段階から携わりたい、と。
柴垣様: まさしくそうです。今回のNIPPプロジェクトは、日本で生まれた、まさに患者さんのニーズに応えるための治療法です。これを自分たちの手で育て、最終的に患者さんの元に届けられる。これは私がずっとやりたかったことそのものでした。
─── 海外発ではなく「日本発」の医療という部分に、ロマンを感じられたのですね。
柴垣さん: まさに、そうです。不完全燃焼だった部分に火がついた感覚でした。だからこそ、ロマンを感じましたし、すぐに「やります!」とお返事しました。嬉しさのあまり即答してしまって、後から家族に話したら「大丈夫なの?」と心配されたり、自分でも「とんでもない決断をしたんじゃないか」と冷静に考えたりもしましたけどね(笑)。でも、後悔は全くありません。
■クラウドファンディングとPRで支援を拡げる
─── 私がお手伝いさせていただくことになったのは、小野澤先生から「クラウドファンディングを成功させたい」というご相談を受けたのがきっかけでした。医療領域は広告規制が厳しく、通常のプロモーションが難しい分、「伝える力=PR」が非常に重要でしたね。
柴垣さん:そうなんです。医療の世界では、一般的な広告ではなく「信頼できる情報としてメディアに伝える」ことが求められます。そこを実行ベースでサポートしてもらえるのが心強かった。
─── 今回、私はクラウドファンディングの設計から、プレスリリースやSNSを使った情報発信まで伴走させていただきました。NIPPの第一人者である小野澤先生が長年築いてこられた支援者コミュニティの文化や熱量を、柴垣さんをはじめとする経営陣に伝える役割もありました。

柴垣さん:皆さんのサポートのおかげで、「これは社会を変えられるかもしれない」という実感が湧いてきましたね。
─── 会社が立ち上がり、記者説明会も開催され、クラウドファンディングも大成功。ここまでの密度は、すさまじいものがあったのではないでしょうか。
柴垣さん: 本当に怒涛の日々です。でも、大変だと感じる一方で、私自身の熱量はどんどん上がり続けています。
─── その「熱量」の源泉はどこにあるのでしょうか?
柴垣さん: 三間さんや三沢さんさんはもちろん、社内外の多くの方々が本当に力を貸してくださるんです。クラウドファンディングなどを通じていただく支援者の皆さんからの温かい言葉も、ものすごく背中を押してくれます。「やっててよかった」と心から思いますし、「保険適用を実現し、患者さんに届けるその日まで、絶対にやり抜くぞ」と、決意が日に日に積み上がっていくのを感じます。
■インドでの原体験が導いた医療への道。ライフワークとしてNIPPを届け続ける

─── そもそも、柴垣さんが医療業界を志したきっかけは何だったのですか?
柴垣さん: 学生時代にインドへ旅行し、マザー・テレサが作った「マザーハウス」でボランティアをした経験が原点です。そこで出会ったあるおじいさんの食事の世話をした時、その方が涙をぽろっと流されたんです。その瞬間、人のために何かをすることの尊さに気づき、医療の道に進むことを決めました。
─── インドでの原体験から、小野澤先生との出会い、そしてNIPPへと繋がっていくのですね。このプロジェクトを社会に届ける上で、最も大事にしていることは何ですか?
柴垣さん: 小野澤先生からお誘いいただいた時の、あの嬉しさ。「自分が本当にやりたいことに出会えた」という感覚を、決して忘れないことです。これを自分のライフワークとして、必ず保険適用を実現させる。その目標を常に胸に刻み、持ち続けていこうと思っています。
─── この治療法をまだ知らない方や、今後の支援者の方々へメッセージをお願いします。
柴垣さん: いつも温かいご支援、本当にありがとうございます。製品の改良、関係各社との交渉、そして治験という大きなハードルがまだ待ち受けています。しかし、私たちはその先にある「保険適用」という未来を信じ、メンバー一同、全力で走り続けています。皆様の応援が私たちの何よりの力になります。これからも、私たちと共に未来を作っていただけたら嬉しいです。引き続き、よろしくお願いいたします。
【取締役・広報責任者 三沢雄吾様】「伝え方」をデザインする、もう一人のキーパーソン
■動画制作から経営陣へ。巻き込まれるように始まった、広報責任者としての道
─── 続いて、取締役・広報責任者としてプロジェクトを支える三沢さんにお話を伺います。三沢さんは、どのような経緯でこのプロジェクトに?
三沢さん: 私は映像制作会社の代表をしておりまして、元々は小野澤先生からIVR学会で流すカテーテル治療の解説動画の制作を依頼されたのが最初の接点です。

─── 動画制作の依頼が、どうして取締役就任にまで繋がったのですか?
三沢さん: 動画を作るには、まず「どういうデザインで見せるか」「何を伝えたいか」というコンセプトを固める必要があります。しかし、当時は立ち上がったばかりで、会社のロゴもなければ、トンマナ(デザインの方向性、ルール)も決まっていなかった。その根本的な「伝え方の設計」をする人が誰もいない状況だったんです。「その土台がないと動画は作れませんよ」という話をしていたら、「じゃあ、それ三沢さんさんできないの?」と(笑)。
─── ある意味、巻き込まれたような形ですね。
三沢さん: そうですね。でも、私たちの会社はもともと、ただ作るだけでなく「どう伝えるか」という企画や構成といった上流工程から関わらせていただくことが多かったので、非常に面白そうな挑戦だと感じました。
─── 柴垣さんや小野澤先生といったキーパーソンの方々と初めてお会いした時の印象はいかがでしたか?
三沢さん: 顔合わせが飲み会だったのですが、皆さん、めちゃくちゃ良い人で、めちゃくちゃ頭が良い。こんなに親しみやすく聡明で、各分野の専門家たちが本気で応援しようとしているプロジェクトなら、ぜひ自分もその輪に加わりたいと、心から思いました。

■「一番の素人」であり続ける。専門情報を”翻訳”する、伝え方の哲学
─── 私から見ても、このプロジェクトが伝えようとしている内容は、非常に専門性が高く、難易度が高いと感じます。情報発信において、最も苦労されている点はどこですか?
三沢さん: 大きく二つあります。一つは、伝える情報そのものが専門的で非常に難しいこと。もう一つは、それを医療法や薬機法といった厳しい制限の中で伝えなければならないことです。
─── その「伝わらなさ」に対して、どのような工夫をされているのでしょうか。
三沢さん: 私はどんな案件でも、常に「一番の素人であり、一番客観的な人間である」という立場を忘れないようにしています。まず自分が理解できなければ、誰も理解できるはずがない。だから、自分が分かるまで徹底的に噛み砕く。その視点が、専門情報を多くの人に届けるための”翻訳”作業の第一歩だと考えています。
■亡き父の闘病体験が原動力に。「選択肢がない」人に希望を届けるために
─── 三沢さんが、このNIPPというプロジェクトに「伝えたい」と強く思われる原動力はどこにあるのでしょうか。
三沢さん: 実は、私は10歳の頃に父をがんで亡くしています。父は鼻の奥にがんが見つかりましたが、発見が遅れ、手術の見込みも薄い状況でした。当時はインターネットもなく、情報が限られる中で、家族は必死に他の治療法を探しました。しかし、最終的には選択肢がないと諦め、ホスピスに入ることを選びました。
─── そうだったのですね。
三沢さん: NIPPは、もしかしたら第一選択の治療法ではないかもしれません。でも、かつての私の父のように「もう治療法がない」と告げられた人にとって、希望になりうる選択肢だと思うんです。伝え方次第で、その希望が届くかもしれない。その想いが、私の大きなモチベーションになっています。
■「ナビゲーター」と「翻訳者」。二人三脚で拓くPRの新たな地平
─── 今回、私のような外部のPRパートナーと組むことで、何か変化や気づきはありましたか?
三沢さん: それは、非常に大きな気づきがありました。以前、社内向けのAIに私たちの役割の違いを言語化してもらったことがあるのですが、それが的確でしたね。
私、三沢は「何をどう伝えるか」という情報の設計やコンテンツの品質を管理する『伝えるための翻訳者』。そして、三間さんは「どのタイミングで、どのメディアに、どう届けるか」という道筋を設計し、プロジェクトを前に進める『伝える道筋を設計するナビゲーター』。

─── あの言語化は、私たちにとっても発見でしたね。
三沢さん: はい。一口に「広報」と言っても、様々なスキルやアプローチがあります。三間さんというナビゲーターがいてくれることで、自分は「翻訳」という役割に専念できる。やるべきことが明確になり、本当に心強いです。
─── ありがとうございます。それでは最後に、このプロジェクトをまだ知らない方々へメッセージをお願いします。
三沢さん: NIPPは、子宮がん、直腸がん、膀胱がんなど、骨盤内のがんに対する治療法です。私たちは今、この治療法を保険適用にするため、一生懸命頑張っています。治療が必要になった時、ご本人や周りの方が「そういえば、あんな治療法があったな」と思い出せること。それが、今の私たちにとって非常に大切です。ぜひ、このNIPPという治療法を、心の片隅に覚えておいていただけると嬉しいです。
おわりに
代表としてプロジェクトを情熱的に牽引する柴垣さんの「熱量」。そして、広報責任者として複雑な情報を冷静に分析し、世の中に届く言葉へと変換する三沢さんの「翻訳力」。お二人の対照的とも言える強みが両輪となり、この難易度の高いプロジェクトを力強く前進させているのだと、インタビューを通して強く感じました。
「人のために」という純粋な想いと、それを実現するための論理的な戦略。メドキュレーション社の挑戦は、多くのスタートアップや中小企業のマーケティング担当者にとっても、大きなヒントを与えてくれるのではないでしょうか。BP&Co.はこれからも、PRという側面からお二人の挑戦を全力でサポートしてまいります。
代表の柴垣様の熱い「情熱」と、広報責任者である三沢様の冷静な「翻訳力」。この素晴らしいチームの一員として、私たちBP&Co.は「伝える道筋を設計するナビゲーター」として、また「泥臭く手を動かす実行部隊」として伴走しています。
メドキュレーション社が直面していた課題は、多くのスタートアップや専門家集団が抱える課題でもあります。
- 専門性の高い情報を、どうやって一般社会やメディアに「伝わる言葉」にするか?
- 広告規制や法律を遵守しつつ、どうやって認知を広げるか?
- 多忙な経営陣や専門家のリソースを圧迫せず、どうやってPR活動を「実行」し続けるか?
BP&Co.は、単なるアドバイザーではなく、クライアントの「社外広報室」として、これらの課題に“手足”となって取り組みます。
「想いはあるが、どう伝えたらいいか分からない」 「戦略はあっても、実行するリソースがない」
そんな情熱ある企業の皆様の「実行伴走型パートナー」として、私たちはプロジェクトの成功を共に目指します。

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